骨粗鬆症の薬物治療で現在中心となっているのは、ビスホスホネート製剤、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)、副甲状腺ホルモン(PTH)製剤、抗RANKL抗体製剤である。PTH製剤は骨形成促進薬であり、他の3種は骨吸収抑制薬に分類される。, これらの薬剤に加えて、カルシウム製剤、活性型ビタミンD3製剤、ビタミンK2製剤などを必要に応じて併用する。, 破骨細胞の働きを抑え、骨吸収を抑制して相対的に骨形成を亢進させることで、骨量を回復させる。, 骨のカルシウム分が血液に溶け出すのを防いだり、骨を丈夫にするカルシトニンというホルモンの分泌を促進します。, 骨粗鬆症の治療に用いますが、その効果は限定的です。骨密度の減少を遅らせる程度で、骨折予防効果はあまり期待できません。, 骨芽細胞に直接作用し、活性化することで骨形成作用を発揮する。同時に骨吸収を抑制し、骨粗鬆症の不均衡を改善し、骨量の維持作用を示す。, 新しい骨ができるのを助ける働きがあります。その作用はおだやかで、副作用もほとんどありません。弱いながら、骨密度増加や骨折予防効果も多少期待できるようです。老人性の軽い骨粗鬆症に向くほか、ステロイド骨症に対しビスホスフォネート薬が使用困難なときに用いることがあります。ちなみに、納豆にはビタミンKがたくさん含まれるので、同様の効果が期待できます。, 骨のエストロゲン受容体に対して選択的に作用する薬です。女性ホルモンのエストロゲン製剤は骨吸収抑制作用を示しますが、乳がんなど発がん性の心配もあります。, SERMは骨のエストロゲン受容体だけに作用するので、発がんの危険性は少ないとされます。SERMには骨吸収抑制効果だけでなく、脂質低下作用もあります。また、塩酸ラロキシフェンには乳がん予防効果も認められています。, その特性により、副作用の軽減と他臓器に対する悪影響が回避され、副効用として乳がんの予防効果も期待できます。現在、国内をはじめ世界的にも、閉経後の骨粗鬆症治療薬の主流となっています。ただし、更年期障害を悪化させることがあるので、のぼせや発汗など更年期症状のある人は避けたほうがよいかもしれません。, 骨折抑制効果はビスホスホネート製剤などよりも低いのですが、骨代謝を適度に抑え込むので顎骨壊死などの副作用が起こりにくく、乳がん予防などの副次的効果も期待できるので、若くて骨折リスクが高くない人には使いやすい薬です。食後いつ飲んでもよいことも利点で、日本では使用量が多くなっています。, 60歳ぐらいで骨粗霧症になると20年以上も薬を飲み続けないといけません。最初はSERMでスタートし、治療が十分でなければビスホスホネートやテリパラチドに変えていくのが治療戦略です。, ビスホスホネートは破骨細胞のはたらきを強力に抑えることで、骨吸収を防ぎ、骨量を増やします。消化管から吸収されたビスホスホネートは速やかに骨に沈着し、服薬が一定期間行われないで血中濃度が低下しても、骨中に沈着して有効性を発揮します。, そのため服薬期間を延長することが可能で、週1回製剤、月1回製剤があり、最近は年1回製剤も開発が進められています。経口薬のほか、静注薬もあります。ビスホスホネートは半年以上、できれば1年以上続けないと効果が出ないので、患者さんが長く続けられる方剤を選ぶことが大切です。, ビスホスホネートは腸管から1%以下しか吸収されません。そのため起床後すぐに服用し、その後30分は水以外飲んだり食べたりしないという制限がつきます。空腹時間を長くしたほうが吸収はよくなるので、服用後30分といわず、1時間は飲食を我慢してくださいとお願いしています。米国では食後に服用できる製剤も開発され、認可されています。, ビスホスホネート製剤は、ヒドロキシアパタイトと結合して骨表面に沈着し、破骨細胞に取り込まれてアポトーシスを誘導する。その結果、破骨細胞の骨吸収機能を抑制する。, ビスホスホネート系薬剤は、骨に付着して、骨のカルシウム分が血液に溶け出すのをおさえます(骨吸収抑制作用)。, その結果、骨の密度が増加し、骨が丈夫になるのです。骨折の予防効果が高いので、高齢の人などで骨折の危険性が高い重度の骨粗鬆症に向きます。フォサマックやベネットなどによる いくつかの大規模骨折介入試験がおこなわれており、骨粗鬆症における骨折がおおよそ半減することが示されています。, ビスホスホネートは化学構造として2つのC-P結合を特徴とし、さらに側鎖の違いから第一世代~第三世代に分類されることがあります。ダイドロネルは国内初の第一世代ビスホスホネートになりますが、骨吸収抑制作用が弱く安全域が狭いうえ、変則的な飲み方になることもあり、最近はあまり使われなくなりました。一方、側鎖に窒素(N)を含むフォサマック以降の新世代ビスホスホネート製剤は、骨吸収抑制作用が非常に強く、骨折抑制効果にも優れることから処方機会が増えています。, 閉経後あるいは老人性の骨粗鬆症に広く用いられるほか、ステロイドなどによる薬物性の骨粗鬆症に対しても第一選択されます。さらに、ダイドロネルは異所性骨化と骨ページェット病に、ベネットとアクトネルは骨ページェット病にも適応します。なお、同系の注射薬は、飲み薬が使いにくい食道障害のある人や寝たきりの人、正確な服薬が困難な患者さんに使用されるほか、がんの骨転移にともなう骨病変や高カルシウム血症の治療薬としても重要です。, この系統の飲み薬は吸収率が悪く食べ物の影響を受けやすいです。くわえて、局所刺激作用が強く、食道炎や胃潰瘍を起こす危険性があります。このようなリスクを回避するため、起床時に十分量の水で服用するなど厳格な飲みかたが求められます。とはいえ、毎日となると大変です。そこで、服薬負担の軽減をめざし、服用間隔が長い高用量製剤が新たに開発されました。フォサマックとボナロンの高用量製剤は週1回、ベネットとアクトネルは週1回または月1回、ボノテオとリカルボンは4週に1回、ボンビバは月1回の服用で済みます。, 副作用で比較的多いのは、吐き気、食欲不振、下痢または便秘などです。多くはありませんが、食道炎や食道潰瘍、胃潰瘍などもみられます。このような消化管障害を防ぎ、安全かつ効果的に用いるには、やはり、たくさんの水で服用するなど決められた飲み方を守ることが大事です。ほかにも、特異な副作用として顎骨壊死や大腿骨の非定型骨折が報告されています。歯や口まわりの違和感、太ももや足の付け根が痛むなど普段と違う症状があらわれたら医師と相談してください。, さらにビスホスホネートで問題になっているのが、顎骨壊死や非定型大腿骨骨折といった合併症です。顎骨壊死はあごの骨が炎症を起こして壊死するもので、抜歯後などに発生します。あごの骨が壊死すると、口の中に生息する細菌による感染が起こり、あごの痛み、腫れ、膿を持つなどの症状が出現します。発生機序はまだわかっていません。頻度は10万~1万人に1人ぐらいですが、歯科医の先生や患者さんが心配しており、早急な対応が迫られています。, そこで、顎骨壊死に関する正確な情報を収集し、その予防策や対応策について統一的見解を提言する目的で、日本骨粗鬆症学会、日本骨代謝学会、日本歯周病学会、日本歯科放射線学会および日本口腔外科学会の協力の下に、「ビスホスホネート関連顎骨壊死に対するポジションペーパー」が作成されました。, ビスホスホネートを服用して3年未満ならばリスクは低いが、3年以上飲んでいたら休薬を考えるなどの指針が示されています。口の中が不衛生になると顎骨壊死を引き起こしやすいので、予防するには口腔ケアをきちんとすることが大切です。, 非定型大腿骨骨折は、大腿骨の骨皮質が厚くなっているにもかかわらず、まったく外傷がないか、軽微な外傷が原因となって骨幹部がポキッと折れるものです。はっきりしたメカニズムはわかっていませんが、ビスホスホネートは破骨細胞のはたらきを抑えるので骨の新陳代謝が悪くなり、古い骨が蓄積してポキッと折れてしまうのではないかと考えられています。, 大腿骨骨折の予防は難しいのですが、前駆症状として脚の付け根が痛むことがあり、3年以上飲み続けている人で痛みがある場合はレントゲンを撮ってもらうとよいでしょう。顎骨壊死も非定型大腿骨骨折も非常に頻度が低いので、そのためにビスホスホネートの有用性が失われることはないというのが骨粗鬆症治療でのコンセンサスです。, 副甲状腺ホルモンには、カルシウムが足りないとき、緊急事態で骨からカルシウムを溶け出させて血中に放出するはたらきがあります。副甲状腺機能亢進症になると骨量がどんどん減っていきますが、副甲状腺ホルモンを旧1回とか週1回とか間欠的に投与すると骨芽細胞が活性化して骨形成を促進します。, 骨折の危険性が高い人の選択肢の一番手です。症例報告などでは骨癒合を促進するとの報告もあります。1日1回皮下に自己注射する製剤は24ヶ月間、週に1回医療機関で注射する製剤は、最長72週間までしか使えないという制限があり、投与終了後は、ビスホスホネートヘの切り替えが勧められます。, 骨吸収抑制作用、骨形成促進作用、骨塩増加作用などにより、加齢に伴って多発する骨形成と骨吸収のアンバランスを是正する。, 副甲状腺のカルシウム受容体に直接作用する新薬です。副甲状腺ホルモン(PTH)の分泌を抑制することで、骨からのカルシウム溶出をおさえ、骨の性状を改善します。長期透析療法中に多発する透析骨症の治療に用います。, 活性型ビタミンD製剤は、腸からのカルシウムの吸収を促進するとともに、骨をつくる「骨芽細胞」の働きを高めます。, 少量で効率的に作用するビタミンDの活性型製剤です。ビタミンDには、腸からのカルシウムの吸収を促進したり、骨の再形成を助けて骨を丈夫にする働きがあります。また、血液中のカルシウム分を適度に増やし、副甲状腺ホルモン(PTH)の分泌を抑える作用をします。, アルファロールとワンアルファは、骨粗鬆症の基礎薬として使われるほか、慢性腎不全における骨病変にも有用です。それほど強力ではありませんが、骨密度増加や骨折予防効果もある程度期待できます。エディロールは骨作用を強めた新薬で、アルファロールをしのぐ骨折抑制効果が示されています。また、ホーネルは二次性副甲状腺機能亢進症におけるPTH分泌抑制作用が強く、透析骨症(繊維性骨炎)の改善効果が見込まれます。, 新しいタイプの活性型ビタミンD3で、骨吸収抑制と骨形成促進の両面があることがわかっています。従来からある活性型ビタミンD3はビスホスホネートなどとの併用で用いられることが多くなっています。, アルファカルシドールなど:腸管からのCa吸収促進を介したCa代謝調節作用と副甲状腺ホルモン(PTH)の生成・分泌抑制などの作用により骨代謝調節作用を有している。, エルデカルシトール:腸管からのCa吸収促進に加え、破骨細胞の前駆細胞を血中に遊離させてRANKL発現細胞数を減少することで骨吸収抑制作用を発揮する。, 慢性腎不全で長く透析を受けていると、二次性副甲状腺機能亢進症を併発することが多いです。副甲状腺ホルモン(PTH)が過剰に分泌されるため、骨からのカルシウム流出が激しくなり、いわゆる透析骨症(繊維性骨炎)を起こします。治療目標は、PTHの低下をはかるとともに、血液中のカルシウムとリンの濃度を長期間正常に保つことです。これには、活性型ビタミンD製剤の注射や飲み薬、カルシウム受容体作動薬のレグパラ錠などを用います。リンの濃度を下げるには、リン吸着薬を使います。, ビタミンD欠乏症の「クル病」は、栄養状態が非常に悪かった昔、雪が多く日光の少ない北日本の子供に多く見られました。ビタミンDの不足で骨や歯の発育が悪くなる病気です。最近はほとんどないと思いますが、ビタミンDはクル病の特効薬になります。, 副作用は少ないほうですが、効きすぎによる高カルシウム血症には十分な注意が必要です。予防のため、尿や血液中のカルシウム量を定期的に検査しなければなりません。市販のカルシウム剤なども含め服用中の薬は、医師に報告しておきましょう。, 骨をつくるカルシウムそのものを補給します。カルシウム摂取が不足がちな人に効果的です。ただし、治療的効果は低く、骨粗鬆症など骨の病気に対して単独で用いることはありません。, カルシウム製剤はわずかに骨密度の増加効果を認めるが、単独では骨折危険性の低下、QOLの維持改善作用は弱いので、主治療薬ではなく他の骨粗鬆症治療薬を使用する場合に基礎治療薬として併用する。, 国民栄養調査の結果では日本人のカルシウム摂取量は多くの年齢階層で食事摂取基準を下回っており、骨粗鬆症治療のための摂取目標値は800mg以上とされている。, したがって食事で十分にカルシウム摂取ができない患者にはカルシウム製剤が推奨される。, 現在、骨粗鬆症治療薬としての適応を有するのは、L-アスパラギン酸Caとリン酸水素Caのみであるが吸収率の良い乳酸Caなども広く臨床使用されている。, 通常食事で500~600mg/日を摂取しているので、補充を行う場合は500mg/日程度でよい。, 活性型ビタミンDと併用すると高Ca尿症、高Ca血症さらに腎障害を惹起する危険性が高まるので注意する必要がある。, RANKLは破骨細胞及びその前駆細胞表面に発現する受容体(RANK)を介して活性化され破骨細胞の形成、機能及び生存を調節する蛋白質である。, このRANK/RANKL経路を阻害し、破骨細胞の形成を抑制することで骨吸収を抑制する。, ロモソズマブ:骨芽細胞の活性化を抑制するスクレロスチンを阻害することで、骨芽細胞による骨基質産生を促進し、骨芽細胞前駆細胞を動員することで骨形成を促進する。, 骨粗鬆症は、骨の新陳代謝のバランスが崩れ、骨がスカスカになり、もろくなった状態です。腰や背中の痛みをともなうほか、高齢の人では骨折しやすくなります。, 骨粗鬆症は骨強度が低下して骨折しやすくなった状態を示す疾患で、通常は閉経や加齢に伴う原発性骨粗鬆症を指す。骨強度低下そのものには自覚症状がなく、生活に支障をきたすことは少ない。一方で要介護認定者のうち約12%が、転倒・骨折が原因で介護が必要となっており、この割合は今後さらに増加すると考えられている。骨粗鬆症性骨折を予防することは、要介護者の減少に直結する。, 健常人の骨は日々、骨吸収(骨を壊す働き)と骨形成(骨を作る働き)が行われ、2つの働き(骨代謝)が釣り合うことで一定の骨量を維持している。骨は、古い骨を溶かす“破骨細胞”と、新しい骨をつくる“骨芽細胞”の働きにより、常に修復を繰り返しています(専門的にリモデリングといいます)。, 勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。, そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。.
石膏ボード アンカー ダイソー 11, 米 値段 相場 2020 20, 審判 山路 降格 22, Mac キーボード ピンイン 声調 5, 積載車 ガッチャ 使い方 10, アイフル Cm 今野 32, 三菱電機 展示会 2020 4, エポキシ レジン 黄変 しない 10, Japanese Name Converter 4, ゴールデンレトリバー ブリーダー 関西 4, 三菱ufj Visa メリット 4, U字 フリューム Cad 6, 鮭の塩 麹 焼き カロリー 10, 鉋 角度 修正 40, Akira 映画館 グッズ 4, Bdz Et1000 Hdd 換装 16, 律儀 律義 どっち 6, Dahon Horize 軽量化 6, 登録講習 宅建 落ちる 4, Cakephp >input Time 5, ザ ネゴシエーション Netflix 6, 協調性 サッカー 自己pr 16, Iphone 通話中 誤操作 5, メール 返信 一週間後 脈 5, 消費税 端数処理 官公庁 4, 本の紹介カード 小学校 テンプレート 6, ダウンタウン マネージャー 月村 10, めざましどようび 占い 時間 5, トイプードル ホワイト 里親 10, 名前しか知らない 好きな人 片思い 完全無料占い 15, Arrows U ウィジェット 6, 泡状 唾液 痰 18, 宇野 昌 磨 ブログ Ria 16, 少子化対策 100万円 いつから 16, ピロリ菌 除菌 Lg21 併用 7, Fire Hd Wi Fi 8, モーツァルト 狩 解説 10, 作曲 英語 楽譜 6, Pso2 エトワール 火力 49,